ロマンの細道

日頃考えていることを日記のような意味も兼ねて徒然に書きます。

かすみ

葉巻屋の角から、黒いツヤの有る車が現れた。トム・ソーヤの河のような、緑と茶入り交じる海を横に、低い空冷の気筒をふかしていく。 それで零子は、まるで喫茶店クロスの紅白のチェックをまとういでたちで、ふしめがちにその運転台を見ると、勝山という彼女…

デリンジャー

金具を必要としていた。失くしたネジを買いに、山向こうの街へ出た。 ムラサキ色の大気が、故郷の湖に溶けている。列車311号の扉が開く。 次は「方便、方便」。いつまでも忘れている次の駅の名前。 エイブラハム・リンカーンが暗殺された日の新聞を見たこと…

春の祭典

裏庭のフェンスをガサガサと揺らす物音に気がついたのは、もう夜も更けた頃。その日はちょうど眠れず、何度も目覚めてはまた床に沈んだ。 少し懐かしいくらいに古びた2階建てアパートの、すぐ裏はフェンスになっていて、その下は木立と崖だった。5メートル位…

春風

いつ買ったかもう思い出せない缶詰を、手に取ってまた戻した。 この部屋を離れる。窓の外の柳が揺れているのが分かる。水色のアクリルをそのまま塗ったような空と、安っぽいアルミサッシのフレーム。 どれも光の波で反射しては輝きを放つ。 落書きのあるプリ…

グラフィック、図と地の強さ

亀倉雄策や松永真デザイン(なぜこの二人が代表?なのかは置いといて)の対極にあるもの、それは公務員のスライド・あるいは素人のwebタイポグラフィの画像だろうか。基本的にこういうものはすぐに埋もれる。 なんと言ってもそういうデザインを見るのは鬱にな…

海老名・厚木感

あのあたり、一言で言えば強毒の様な世界。大山を望みながら、大水量を誇る相模川の河岸段丘をまたぎ向かい合う二つの郊外都市。 双方に中高層建築物をもち、双方に大型商業施設を持つ。 やはり、水量が多い川は、人々を分けるのか。と思うようなほどにそれ…

かたわらの想いと初夏を振り返る

小林武史の1990のアルバム、テスタロッサを聞いてたらここ二年の大学生活が思い出された。 いつも初夏って良いんだよな。 夏に焦がれつつも、その焦がれそのものがすでに夏っていうね。 いつもそこに気がつかず、本当の夏が来ると暑さにやられるんですが。 …

演技における棒読みはなぜ発生するか

演技をしたり、朗読をしたときに棒読みになってしまうことはよくあることだと思う。昔は学校の出し物などで役割を割り当てられてしまったりして、半分不貞腐れながら演じているものや、恥ずかしさを感じているものは皆棒読みだった。 しかし厄介なのは、ちゃ…

風呂で思い出したこと

さっき風呂に入って歌ってたら、ふと思い出したことがある。 それは自分が歌うことが好きだったこと。 結構当たり前のようにも思えるけど、多分数年くらいはぼんやりと忘れていた。 しっかり風呂で歌ったのは多分3.4年くらい無かったと思う。(言い過ぎか?) …

音楽を作ることについて

淵に立つ、という映画を見た。その後、監督の深田さんが受けているインタビューを読んで考えたことがあったのでここに。 otocoto.jp リンクはこちら 実は考えたことに関係することは、映画の内容とはさほど関係ない。 このインタビューの一節にある言葉だ。 …

家はこんなふうにしたい〜中途半端なもの編

中途半端なものを買う事はよしたい。 ある程度思い切った方がどう考えてもコスパが良い。 中途半端なものを買うと、いつか満足できなくなる。 あるいは、思い入れがなかったりすると、その存在を忘れて似たようなものを買ったりする。 それで長期的に見れば…

最近考え始めた、地理の話

小高い山に囲まれた街、飯能に住んでる。関東平野からみれば、秩父山地の玄関口、山の麓にある都市である。北西南は山か丘陵に囲まれてる扇状地で、西側だけが入間・狭山・日高に接触してる。だから、この3市、その先の所沢なんかにもよく行った。電車でも車…

あの秋晴れの日に見た景色

2019年10月に訪れた、でっかい台風。そいつが過ぎ去った台風一過の休みの日。言葉にならないような、秋晴れの空の下。大学の制作課題で使うためアマゾンで購入した竹笠(昔の人がかぶってるみたいな)を受け取りに、在住する市内にある、歩きで50分ほど離れ…

最近考え始めた、家の話

きっかけは、ぶらりと午後散歩をしてたとき。いままでほとんど全てが同じに見えていた住宅達が、バラバラになった瞬間であった。「あの家、何かよくわからないけどワクワクするな」その家は、最近建てたと思われ、緑系の色で塗られ、木の柄を纏ったお洒落な…

私的音楽の聴き方②

前回の記事①からだいぶ時間を経ているけれど、ここで続きを書いてみようと思う。近年の自分の音楽の聴き方の根底には、音楽の構造自体の分析、という名目がある。音楽はひとつの音だけで構成されていない。わかりやすいのがバンド。ボーカル、ギター、ベース…

私的 音楽の聴き方①

こないだふとした機会に、自分の中での昔の音楽の聴き方の感覚を思い出した。 これを機に、これまでの自分の音楽の聴き方がどんなものかを書きたいと思う。 作編曲とか楽器に本気で取り組む前、音楽は物語を再生するような手段だった。まずボーカルという話…

まえがき

どうもこんにちは。伴と申します。 現在都内の美術大学でデザインを専攻する傍ら、音楽をやったり映像をやったりしています。 とにかく様々なことに興味が湧いてくる今日この頃で、とりあえず人間が頭を悩まして生み出した、いわゆる文化というものを知って…